リード再活性化キャンペーンとは、連絡が途絶えたリードや購入をやめた顧客など、すでに自社を知っている人に対し、いつ停止するかの明確なルールを設けたうえで決まったケイデンスで電話をかける施策です。これにより、誰かに過剰に電話したり、2人が同時に連絡したりすることなく、古いリストを予約済みの商談へと変えられます。
数千件のリストは、営業担当者が手作業で架電するには多すぎ、かといって1日の午後で使い切ってしまうには価値が高すぎます。難しいのはトークスクリプトではなく、その周辺の設計です。誰をリストに入れるか、1人あたり何回まで架電するか、何をもって電話を止めるか、そして各時点で誰がリードを担当するか、という点です。
再活性化リストには誰を含めるべきか?
電話番号を提供し、何らかの関心を示したものの、その後連絡が途絶えた人です。有力な候補は次のとおりです。
- オプトイン後に反応がなくなったリード。フォームに記入し、一度は電話に応じたものの、その後応答しなくなった人です。通常、最初に着手すべき最も温度感の高い層です。
- 失注・停滞した商談。料金や提案書を見る段階まで進んだものの、検討を保留したか他社を選んだ人です。
- 離反した顧客。以前は購入していたものの、その後購入していない人です。
休眠期間は2つの境界で設定します。自社を覚えている程度には最近であり、かつ営業担当者がもう対応していない程度には古い期間です。最も最近の層から始め、徐々にさかのぼっていきます。
エクスポートするのはエージェントが必要とする情報だけにし、1人につき1行とします。
| 列 | エージェントに必要な理由 |
|---|
| 電話番号(E.164) | 一括発信(バッチコール)で唯一の必須項目 |
| 名 | 個人に向けた形で通話を始められる |
| 最終連絡日 | 「前回は3月にお話ししました」と伝えることで、コールドコールではないことを示せる |
| 問い合わせ内容 | それ以降に何が変わったかをエージェントが伝えられる |
| 失注理由(判明している場合) | その理由がまだ当てはまるかをエージェントが確認できる |
| CRMレコードID | メタデータとして渡すことで、結果が正しいレコードに書き戻される |
Retell の一括発信(バッチコール)では、電話番号といくつかの予約済みフィールドを除くすべての列が、{{last_contact_date}}のようにエージェントが使える動的変数になります。
リストをどこかに渡す前に、各グループがどのような同意を得ているかを確認してください。FCCは、AI生成音声がTCPA上の「人工的な」音声に該当することを確認しています。そのため、こうした通話には原則として相手の事前の明示的な同意が必要であり、FCCの規則では、人工音声を使用した携帯電話番号へのテレマーケティング通話について、事前の明示的な書面による同意というより高い基準が定められています。過去に購入実績があるだけでは、この問題は解決しません。各リストについて法律顧問に確認してください。確認すべき事項はアウトバウンドAI通話のためのTCPAガイドで解説しています。本記事は法的助言ではありません。
大規模なリストを有望な少数に絞り込むには?
2回フィルタリングします。1回目は架電前にデータで、2回目は通話そのもので行います。
架電前に、電話番号による重複、do-not-callとマークされた番号、予約済みまたは進行中の商談がある人、営業担当者が担当している人、通話に必要な同意を得ていない人を除外します。
2回目の絞り込みは通話が担います。通話後分析でセレクターフィールドを定義します。たとえばreactivation_outcomeに、関心あり、今は不要、対象外、別人、架電拒否といった値を設定します。つながった通話はすべて文字起こしされタグ付けされるため、営業担当者に戻すリストには、会話する価値のある人だけが残ります。各バッチでは発信数、応答数、成功数がレポートされ、通話履歴をバッチごとに絞り込んでリスト同士を比較することもできます。
各リードにはどのようなケイデンスを適用すべきか?
1日1回の電話と、不在着信のたびにSMSを1通送る形を短期間続け、その後いったん休止します。よく使われる初期パターンは次のとおりです。
| タイミング | 実施内容 | 実施条件 |
|---|
| 1日目 | AI電話 | 未予約、営業担当者の担当外、架電拒否でない |
| 1日目の通話後 | SMS:「お電話がつながらず失礼しました。明日また改めてご連絡します」 | 通話が応答なしまたは留守番電話につながり、本人がSMS受信に同意している |
| 以降の各営業日 | 同じ電話とSMS | まだつながっておらず、引き続き対象である |
| 設定した期間の終了時 | 停止し「休止中」とマーク | 一度もつながらなかった |
| 数週間後 | もう一度短期間実施 | まだ休止中で、引き続き対象である |
Retell には自動リダイヤル機能がないため、各架電を誰が実行するかを計画しておきます。ドキュメントに記載された次の2つのパターンが有効です。
- 毎日のバッチ。毎朝、対象となるリストをCRMからエクスポートし、発信時間帯を指定した新しいバッチとしてアップロードします。ペースは割り当てた同時接続数で決まり、予約済みの同時接続数によってインバウンド通話にも確実に応答できます。一括発信には通話ごとの遅延設定はありません。
- 独自のスケジューラー。ワークフローからリードごとにCreate Phone Call APIを呼び出します。各発信の前にGet contact by phoneで番号を照会し、
last_conversation_timestampが最近すぎる場合はスキップできます。応答のなかった通話も含め、すべての発信通話は会話としてカウントされるため、このクールダウンは架電試行にも適用されます。
留守番電話への対応は試行回ごとに変えます。バッチのCSVでは行ごとにoverride agent idを設定できるため、初期の試行では留守番電話につながったら切断するエージェントを使い、最後の試行では短いメッセージを残すエージェントを使うといった運用が可能です。短期間に短い通話を大量に発信すると、通信事業者がその番号を迷惑電話としてマークする可能性があるため、試行の間隔を空けてください。認証済み番号とブランド付き発信者番号を使うと、相手は誰からの電話かを認識しやすくなります。発信時間帯も法律の範囲内に収めてください。連邦規則では、相手の所在地で午前8時より前または午後9時以降の電話勧誘が禁止されており、州の規則で独自の制限が加わる場合もあるため、法律顧問に確認してください。
フォローアップのSMSはどのように送るか?
通話結果をトリガーにします。方法は2つあります。
- 通話後SMS関数をエージェントのワークフローに設定し、
dial_no_answerやvoicemail_reachedなどの切断理由を条件にします。SMSの文面はモデルが作成しますが、応答のなかった通話には参照できる会話がないため、短く固定した指示を与えてください。応答しないテスト通話を発信して、正しく動作することを確認します。 - 独自のワークフロー。応答のなかった通話でも
call_endedとcall_analyzedのwebhookが送信されます。それらを受けてCreate Outbound SMS APIを呼び出します。
SMSを有効にした自社の番号から送信してください。そのためには、米国の番号でのA2P 10DLC登録と、SMS受信への同意が必要です。Retell の共有SMS承認済み番号は、通話中に定型テンプレートを送信するだけなので、このステップには対応していません。相手がSTOPと返信すると、Retell はその連絡先をdo-not-callとしてマークします。
エージェントはいつ架電を停止すべきか?
最初のバッチの前に停止ルールを書き出しておきます。
| 結果 | ルール |
|---|
| ミーティングを予約した | 停止。設定したクールダウン期間中はすべてのバッチから除外 |
| 架電しないよう求められた | 恒久的に停止。連絡拒否への対応を有効にしていれば、エージェントが一度確認したうえで通話を終了し、連絡先にフラグを付ける |
| 対象外または番号違い | 停止し、理由を記録 |
| 関心はあるが今ではない | 今回の実施を停止。CRMにフォローアップ日を設定 |
| 応答のないまま期間が終了 | 休止し、もう一度実施するか判断 |
注意点が1つあります。do-not-callフラグは、それを確認する仕組みがある場合にしか通話をブロックしません。Create Phone Callはhonor_internal_dnc: trueを渡した場合にフラグを確認します。一括発信はフラグを確認しないため、すべてのエクスポートからフラグ付きの連絡先を除外してください。また連邦規則では、あらゆる合理的な手段でなされた停止要求に10営業日以内に応じることが義務付けられているため、メール、SMS、電話からのオプトアウトがすべて同じ抑制リストに反映されるようにしてください。
AIと営業担当者が同じリードに重複して対応しないようにするには?
すべてのリードに一度に1人の担当者を割り当て、CRMのフィールドに記録します。たとえば、ai、rep、noneの値を持つreactivation_ownerフィールドを使います。
- 登録時にロックする。リードがバッチに加わったら、フィールドを「ai」に設定します。営業担当者のビューからはAIが担当するリードを除外します。
- 担当者のいないリードからバッチを作成する。エクスポート時に、営業担当者が担当中、予約済み、進行中の商談があるレコードを除外します。
- 関心を示したら引き継ぐ。相手が話したいと希望した場合、エージェントがウォームトランスファー(事前取次)を行い、つなぐ前に営業担当者へ非公開で概要を伝えるか、営業担当者のカレンダーに予約を入れます。その後、担当者を「rep」に変更します。
- 実施終了時に解放する。フィールドを「none」に戻し、後日あらためてリードに対応できるようにします。
通話後関数によってフィールドを常に最新の状態に保てます。通話後関数は各通話の後に実行され、結果を条件として、HubSpot、Salesforce、Microsoft Dynamics 365、GoHighLevel、Zoho CRMで連絡先を更新したりタスクを作成したり、GoHighLevelでタグを追加したりできます。1つ注意点があります。通話前関数はアウトバウンド通話の発信前に実行されますが、通話を行うかどうかを判断するのではなくコンテキストを読み込むためのものです。そのため、ロックの確認はエージェントではなく、エクスポートまたはスケジューラー側で行う必要があります。書き戻しの詳細はCRMから音声AIへのワークフローで解説しています。相手が折り返し電話をかけてきた場合は、連絡先メモリによってエージェントに過去の会話の簡単な要約が渡されるため、何が合意されたかを把握できます。
ウィンバックシーケンスでメール、AI電話、留守番電話をどう組み合わせるか?
各チャネルがそれぞれの役割を担い、すべてのチャネルが同じステータスフィールドを参照します。Retell では、エージェントが電話、留守番電話、SMSを担当します。メールはマーケティングツールやセールスエンゲージメントツールで扱い、営業担当者個人による留守番電話メッセージは営業担当者が担当します。離反顧客向けの3週間のシーケンス例は次のとおりです。
- 1日目:オファーを記載したメール
- 3日目:オファーに言及するAI電話
- 4日目:通話に応答がなかった場合はSMS
- 8日目:2通目のメール
- 10日目:留守番電話につながった場合はメッセージを残すAI電話
- 15日目:営業担当者による個人的な留守番電話メッセージ(高額顧客のみ)
- 21日目:最後のメール
いずれかのチャネルで予約または停止要求があれば、すべてのチャネルでシーケンスを終了します。オファーの内容は自社で決めるものであり、エージェントは記述された内容だけを伝えます。ウィンバックキャンペーンテンプレートとリード再活性化キャンペーンテンプレートを、スクリプトの出発点としてご活用ください。
知っている担当者が退職していた場合は?
現在の担当者が誰かを尋ねます。法人向けリストでは、人事異動によってレコードが退職者を指したままになっていることがあります。new_contact_name、new_contact_phone、new_contact_emailの3つの抽出フィールドを追加し、相手が退職している場合は丁寧にこれらを尋ねるようエージェントに指示します。結果をもとに既存のレコードを上書きするのではなく新しいCRMレコードを作成し、新しい担当者に架電する前に同意を確認してください。
開始前チェックリスト
- 休眠期間を設定し、リストごとの同意を法律顧問と確認済み
- 予約済み、進行中の商談あり、営業担当者が担当中、do-not-callのレコードをすべてのエクスポートから除外
- CRMに担当者フィールドを設け、それに基づいてビューとバッチを作成
- ケイデンスを文書化:1日あたりの試行回数、実施期間、休止期間、試行ごとの留守番電話対応
- 応答なしまたは留守番電話の結果を条件とし、A2P登録済みの番号からフォローアップSMSを送信
- 通話後分析に結果セレクターと新規連絡先フィールドを設定
- 連絡拒否への対応を有効化
- 各バッチの発信時間帯を、現地の架電可能時間内で設定
どこから始めるか
まずは最も最近の休眠層をこの設計で実施し、結果を確認してから規模を拡大してください。Retell の一括発信(バッチコール)は設定した時間帯内で通話を実行し、通話後関数が各結果をCRMに書き戻します。データベース再活性化のユースケースでは、各チームがこれをエンドツーエンドでどのように構築しているかを紹介しています。