xAIのAIアシスタントであるGrok Botが、ユーザーに代わって電話をかけられるようになりました。誰に何の用件で電話するかを伝えると、Grok Botが発信し、電話に出た相手と会話して、要約を報告してくれます。Elon Muskは2026年10月25日にこの機能をプレビューし、X上のGrok Bot公式アカウントは11月4日に提供開始を発表しました。
Grok Botは、ユーザー自身の用事のために代わりに電話をかけます。一方、ビジネスに必要なのは別のものです。会社の代表番号で電話に応答し、顧客リストに沿って発信し、社内ポリシーに従い、スタッフに引き継ぐエージェントです。本ガイドでは、Grok Botの電話機能でできること、まだ不明な点、そしてRetell AIを使ってxAIのGrok Voiceモデル、またはOpenAIのGPT-Live-1でビジネス向けAI電話エージェントを運用する方法を解説します。
本ガイドはRetell AIが公開しています。Retell AIは、xAIのGrok Voiceモデルにも対応したAI電話エージェント構築プラットフォームを販売しています。
Grok Botの電話機能でできること xAIはまだ電話機能のドキュメントを公開していないため、以下はローンチデモと初期の報道に基づく情報です。
デモの選び方は的確です。契約の解約は多くの人が後回しにしがちな電話であり、引き留めオファーは本格的なテストになります。エージェントはセールストークを見抜き、立場を崩さず、それでも解約の確認を取り付ける必要があるからです。
xAIがまだ明らかにしていないこと 2026年11月4日時点で、いくつかの実務的な疑問が未解決のままです。
通話に追加料金がかかるか。 xAIのドキュメントによると、Grok BotはX Premium、Super、Ultraプランに含まれ、Plusには含まれません。電話機能、通話数の上限、追加料金については記載がありません。利用できる地域。 xAIは対応国のリストを公開していません。あるテスターは、ボット自身が「米国のみ」と答えたと報告していますが、公式に発表されたルールではありません。AIであることを名乗るか。 Grok Botが通話相手に対し、AIと話していることを伝えるかどうかを確認できる情報源はありません。通話にどのモデルが使われているか。 xAIは開発者向けにspeech-to-speechモデル「grok-voice-3.0」を販売していますが、Grok Botの通話でこのモデルが使われているとは発表していません。着信対応。 これまでに示されたのはすべてGrok Botからの発信です。電話回線で着信に応答する様子は示されていません。xAIがこの機能を正式にドキュメント化するまでは、これらを事実として記載している記事には注意してください。
ビジネス版:AI電話エージェント デモを見て「これに自社の電話を受けてほしい」「これに顧客へ電話してほしい」と思ったなら、それはまさにAI電話エージェントです。大きく分けて2つの方法があります。
xAI独自のビルダー。 xAIは2026年7月1日から、ノーコードのVoice Agent Builder をベータ版で提供しています。Grok Voiceを中心に構築されており、テレフォニー、ナレッジベース、ツール、ガードレール、チームへの転送機能を備えています。各アカウントには無料の電話番号が付与され、既存の番号をSIP経由で接続することもできます。
複数のモデルを運用できるプラットフォーム。 Retellでは、Grok VoiceをOpenAIのGPT-Live-1や、OpenAI、Anthropic、Googleのテキストモデルとともに、1つのエージェントビルダー上で運用できます。テレフォニー、アウトバウンドキャンペーン、通話転送、テスト、通話後分析も備えています。同じエージェントで音声モデルを比較したい場合や、後からモデルを切り替える選択肢を残しておきたい場合は、こちらの方法が適しています。
Grok Botの個人向け電話機能と、Retellで構築したビジネス向けAI電話エージェントの比較は以下のとおりです。
Grok Botの電話 RetellのAI電話エージェント 誰のために電話するか ユーザー自身の用事のため 自社のビジネスとして、顧客のため 方向 発信(これまでに示された範囲) 着信と発信 大規模な発信 示されていない Dialer キャンペーン:スケジュールに沿った再発信、発信時間帯の設定、Do Not Callリストの照合発信者番号 ドキュメント記載なし Retellで取得した番号またはインポートした自社の番号を使用。米国の番号ではブランド発信者番号表示 にも対応 電話メニュー v0.77で報告あり、ローンチデモには登場せず プッシュボタン(DTMF)メニューに対応するPress Digit ツール 有人対応への引き継ぎ ユーザーがTake overをタップ チームの番号への通話転送 リアルタイムの文字起こし Grokアプリ内 transcript_updated webhook で自社システムにストリーミング 通話後 ユーザーへのメモ 通話後分析 :要約、成功フラグ、感情分析、カスタムフィールドモデル 非公開 xAIのgrok-voice-3.0やOpenAIのgpt-live-1など、自由に選択可能
RetellでGrok Voiceを使ったAI電話エージェントを運用する方法 Retellは、xAIのgrok-voice-3.0をspeech-to-speechモデルとしてサポートしています。speech-to-speechとは、1つのモデルが音声を聞き取り、音声で応答する仕組みで、文字起こしと音声合成(text-to-speech)のステップを別々に挟みません。これが、こうした通話が素早く自然に聞こえる大きな理由です。RetellのxAI音声は、このモデルでのみ利用できます。
通話の開始方法、通話中にエージェントができること、自社システムに届く情報。図:Retell AI(2026年11月、Retellのドキュメントに基づく)。 エージェントを作成 し、モデルをGrok Voice 3.0に設定します。Grok Voice 3.0は、Retellのspeech-to-speechモデルの一覧に含まれています。APIでは、Retell LLMのmodel_configを{"type": "s2s", "primary": {"model": "grok-voice-3.0"}}に設定します。エージェント用のxAI音声を選択 します。 新入社員に説明するようにpromptを作成 します。エージェントが誰に電話するのか、通話の目的、同意してよいこと・いけないこと、そしていつ担当者に引き継ぐかを記述します。 業務に必要な通話ツールを追加 します。電話メニュー用のPress Digit、引き継ぎ用の通話転送、通話終了などです。 電話番号を用意します。 Retellで購入するか自社の番号をインポートし、着信、発信、またはその両方に対してエージェントを紐づけます。ダッシュボードまたはCreate Phone Call API から1件ずつ発信 するか、連絡先リストに対してDialerキャンペーンを実行します。 結果を確認します。 リアルタイムで文字起こしを取得したい場合は、エージェントのwebhookイベントにtranscript_updatedを追加します。また、通話後分析を使って、要約や「解約確認済み」「予約完了」など独自に定義したフィールドを取得できます。Grok Voice 3.0を含むspeech-to-speechモデルの利用には、Retellの有料アカウントが必要です。無料トライアルには含まれません。
Grok VoiceとGPT-Live-1、どちらを選ぶべきか どちらもRetellで利用でき、それぞれ適した用途が異なります。
1つのモデルがすべてを担うか、音声モデルがテキストモデルに処理を引き継ぐか。図:Retell AI(2026年11月、Retellのドキュメントに基づく)。 Grok Voice 3.0 はspeech-to-speechモデルで、1つのモデルが1つのpromptに従って聞き取り、推論し、発話します。主に上手に話し、スクリプトどおりに進めることが求められる会話に適しています。
OpenAIの全二重音声モデル であるGPT-Live-1 は、2026年11月2日にRetellで利用可能になりました 。GPT-Live-1は処理を2つに分けます。音声モデルが発話、割り込み、ターンテイキングを担い、選択したバックエンドのテキストLLMがメインのprompt、ツール、ナレッジベースを実行します。エージェントが予約や情報検索を行う必要がある場合、バックエンドが処理している間も音声モデルが会話を続けるため、会話の途中でアクションを実行する通話に特に適しています。有料アカウントのsingle-prompt音声エージェントで動作し、バックエンドに処理を引き継ぐタイミングを指定する別の音声用promptとともにAPIで設定します。料金は1分あたりの課金に加え、バックエンドモデルの使用量がかかります。詳しくはGPT-Liveセットアップガイド をご覧ください。
厳密な分岐を伴う複数ステップの通話では、テキストモデルを使ったカンバセーションフロー(conversation flow)エージェントが、依然として最も制御しやすい選択肢です。どちらを使うべきか迷う場合は、同じエージェントを2つのモデルで構築し、実際の通話で比較してください。より幅広い選択肢については、電話向けspeech-to-speech AI APIの比較 をご覧ください。
エージェントが発信する前に知っておくべきルール 自分のサブスクリプションを解約するのと、企業がAI音声で顧客に電話するのとでは話が違います。後者は規制の対象です。
同意。 2024年2月のFCCの裁定 により、電話消費者保護法(TCPA)の人工音声・録音音声に関する制限がAI生成音声にも適用されることになりました。そのため、適用除外に該当しない限り、こうした通話には相手の事前の明示的な同意が必要です。実務上の意味については、AIアウトバウンドのためのTCPAプレイブック で詳しく解説しています。開示。 2026年8月2日から適用されるEU AI法第50条 では、文脈から明らかな場合を除き、AIシステムとやり取りしていることを相手に伝えなければなりません。エージェントの最初の一言でその旨を伝えるのが、どの地域でも最もシンプルな対応です。全体像についてはAI音声は合法か をご覧ください。Do Not Call。 RetellのDialerは、最初の発信前にキャンペーンの連絡先を連邦および州のDo Not Call登録簿と照合 できます。本記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。発信先となるすべての州・国のルールを確認してください。
よくある質問 Grokは電話をかけられますか? はい。2026年11月4日以降、Grok Botはユーザーに代わって発信できます。タスクを説明して通話を承認すると、Grok Botが相手と会話し、その間ユーザーはリアルタイムの文字起こしを確認できます。通話後には要約が報告されます。
Grok Botの電話機能は無料ですか? 無料プランでは利用できません。xAIのドキュメントによると、Grok BotはX Premium、Super、Ultraプランに含まれ、Plusには含まれません。電話機能に上限や追加料金があるかどうかについて、xAIは明らかにしていません。
Grokは自社のビジネスの電話に応答できますか? これまでに示されたGrok Botは、ユーザーのために発信するだけです。ビジネスの電話回線向けには、xAIがGrok Voiceをベースにした別製品のVoice Agent Builderを販売しています。また、RetellでもxAIのGrok Voiceモデルを他の音声モデルとともに運用し、自社の電話番号に接続して着信・発信に利用できます。
Grok Botの電話にはどのモデルが使われていますか? xAIは明らかにしていません。開発者向けにgrok-voice-3.0というspeech-to-speechモデルを提供していますが、Grok Botがこれを使用しているとは確認していません。
自社のAI電話エージェントにGrok Voiceを使えますか? はい。Retellは、有料アカウントでxAI音声とともにgrok-voice-3.0をspeech-to-speechモデルとしてサポートしています。自社の電話番号に接続し、着信・発信の両方に利用できます。
自社の通話で試してみましょう Grok Botのデモを見て、同じことを自社の電話回線でも実現したいと思ったなら、Grok Voice 3.0、またはAPI経由でGPT-Live-1を使ってRetellでエージェントを構築 し、本格導入の前に実際の通話で試験運用してみてください。